新型コロナウイルスの流行や政府による働き方改革の推進により、日本のキャリアの考え方は大きく変化した。その変化の一端が転職活動・転職市場の活発化である。
日本の転職に関するデータを見てみると、転職希望者数が過去最高であることがわかる。しかし、その一方で転職実現率(希望の転職を実現できた率)は過去13年間で最低を記録している。
転職実現率が著しく低下しているなか、人材業界の業界規模は過去最大に拡大している。今の日本社会では、人材業界の企業だけが潤い、転職希望者はニーズを満たせていない状態であることが伺える。
「キャリア迷子」が増加している日本の労働市場
転職希望者が増えているにも関わらず、転職実現率が伸びないのは何故か。その理由として多くの人が口にする理由は次の2点である。
・やりたいことがわからないから
・適している仕事や働き方がわからないから
つまり現在の仕事を辞めて転職したくても、やりたいことや適性がわからないままだと、自分に合う仕事を探し続け、転職ができないままの「キャリア迷子」となってしまうということだ。
転職希望者数は増加傾向にあり、かつ今後も転職実現率が下がっていく2つのこの傾向が回復しない限り、「キャリア迷子」が増え続ける世の中になるだろう。
なぜ「キャリア迷子」になるのか?
そもそも10年ほど前であれば、ある程度「この生き方をすればいい」という生き方に従っていても不満や不安に繋がることは少なかった。
しかし、現在はSNSの台頭もあり「自分とは違う人生」に触れる機会が増加している。「学校で習った世界」と「学校で習っていない世界」の両方に触れることで、今までの教育の過程で与えられてきた「当たり前」の生き方が崩壊した。
その結果、自分はどのように生きていけばよいのか、自分が仕事でやりたいことは何なのかがわからなくなり、気がついた時には「キャリア迷子」となってしまうのだ。
これからの時代は、レールの上に敷かれた道をそのまま進む生き方をするのではなく、「自分にとっての正解を自分で決める」生き方をする必要がある。そうでなければ、永遠にキャリア迷子は続く。決められた生き方が崩壊した今、自分で自分の生き方や働き方を決める時代に突入している。
だからこそ、自分にとっての正解を自分で決める生き方ができれば、キャリアで迷うことはなくなり自分の信じた道へと突き進めるだろう。
「キャリア迷子」を解決するには
「キャリア迷子」から脱するためにはどうすればよいだろうか。われわれGOAL-Bは「自分にとっての正解を自分で決める」生き方を獲得するために、以下の3つの能力を習得することが必要であると考えている。
1.自己認識力
2.自己決定力
3.セルフリーダーシップ
1.自己認識力
自己認識力とは、無意識の行動などから価値観や信念を読み取り、正しく理解する力のことだ。頭で意識している強みや得意などの表層的な理解ではない。「これが得意」「これが好き」と頭で考えるものではなく、人間の無意識95%を正しく認識する力である。
何に自分は体の反応が出て、意識せずとも「こうしたい」「ああしたい」という感覚があるのか。どんな人と関わる時、苦手、得意という反応が出てくるのか。どんな挑戦をする時、ワクワクという体の反応が出てくるのか。自分の「意識」ではない部分にある「体は反応しているが言葉に出来ていない世界」こそ「本来の自分」であり「無意識は思考の95%を占めている」ため普通に生きていれば気付かない領域だからこそ、「この領域を正しく理解できている=本当の自分を理解できている」と言える。だからこそ「正しく自分の人生/キャリアを扱える」ようになるのだ。
例えば「営業の経験が長いから、営業が自分のやりたいことである」と考えている人は、自分の無意識の世界に対する理解が不足しているといえる。やりたい理由を頭の中で考えている時点で、無意識ではなく意識の世界に入ってしまっているのだ。
無意識の行動とは、頭で考えるより先に体が勝手に動いたり、息を吐くようにできることである。無意識からくる行動には本当にやりたいことのヒントが隠れている。だからこそ、無意識からでた行動を自分で認識する必要があるのだ。
日本の教育では自己認識力に触れられてこなかった。就職活動や転職活動において言語化されるスキルや能力と一線を画すものであり、本当の意味で自分を認識する力といえる。
2.自己決定力
自己認識力を正しく身につけたうえで「本来の自分自身の理解から導き出せる自分の解」を決める力を自己決定力という。選択の責任を自分で握る力ともいえるだろう。
これはアドラー心理学の「自己決定感」に近い概念であり、多くの日本人に欠如している力である。自己決定感が低いと幸福度も低いと言われている。
「親が決めたから」「周りと同じがいいから」という他人軸や他責思考ではなく、正しい自己認識を元に、自分で自分のことを決定することが重要である。
自己決定力を身につけることができれば、自分の選択による結果を全て自分で受け止めることができるようになり、人生に対し前向きに行動できるようになるのだ。
3.セルフリーダーシップ
セルフリーダーシップとは、本来の自分の方向性や理想の未来に向けて自らを導く力を指す。セルフリーダーシップを得るには、自己認識力と自己決定力を高めることで、本来の自分が望んで進んでいく方向性に舵を切れる状態になっていることが前提である。
キャリアを歩んでいくなかで、成功も失敗も含めた様々な経験をしていくだろう。その過程では「嬉しさ」「喜び」などのポジティブな感情も「悔しい」「怖い」「不安」というネガティブな感情も体感することになる。人は無意識にネガティブを避ける(コンフォートゾーンに引き戻される状態)のだが、この時にまさに「セルフリーダーシップ」の力が重要である。自らの足で立ち(自立)、自分がすべきことに従い(自律)、不安、恐怖、不甲斐なさ、悔しさなどんなネガティブがあっても、それによって前に進む事を止めず、無意識にある本来の自分が進むべき方向に自らを導いていく(自導)。それがセルフリーダーシップであり、本来の自分が本当に進みたい方向性を決めて進み続けることを牽引していく能力なのだ。高い自己認識力と自己決定力を持ち、ありたい姿に向かって自分自身を引っ張っていけるセルフリーダーシップがあれば、あなたの人生/キャリアは前進していくだろう。
3つの能力を効果的に習得するにはキャリアコーチングが要となる
「自己認識力」「自己決定力」「セルフリーダーシップ」をまとめて習得するには、キャリアコーチングを受講するのが最も効果的である。GOAL-Bのキャリアコーチングではコーチと共に上記3つの能力を習得できる。
例えば、自己認識力を習得するためには自分が無意識にできていることを認識する必要があるが、無意識にできていることを自分自身で認識するのは難しい。そこで、プロのコーチの手を借り本当の自分を引き出してもらう必要があるのだ。
現状の自分は、今までの自分の脳で思考し行動した選択の結果の集合体だといえる。本当に今までの自分を変えるには、自分の脳では限界があり、第三者の脳による手助けと伴走が効果的であり、それが無い限り必ず現状の延長線上を選択するよう脳が動いてしまう。
実際にキャリアコーチングを受講した人がどのように変化したのかを紹介しよう。
キャリアコーチングは「キャリア迷子」が増え続ける現状を打破する鍵になる
この記事では、日本の労働市場に「キャリア迷子」が増えている理由とその解決方法を解説した。日本のこれからのキャリアには「自己認識力」「自己決定力」「セルフリーダーシップ」が必要であり、この3つの能力はキャリアコーチングをとおして習得することができる。
自分の理想のキャリアを求める転職希望者だけではなく、日本の社会全体に対してもキャリアコーチングは大きな役割を担っていくだろう。